かつての竜華池は、山梨県内のアングラーにとって特別な水辺でした。昭和の時代には竜華池のヘラブナといえば県内外から太公望が集う一級ポイントであり、平成初期のルアーブーム期には竜華池のバス釣りを目的に早朝から車列ができるほど熱狂的な釣り場として知られていました。しかし現在、池の周囲には「釣り禁止」「危険・立入禁止」の看板が厳しく張り巡らされています。
竜華池が釣り禁止となった理由は、単一の原因ではなく、長年にわたる複合的なマナー崩壊と安全管理上の危機にありました。 関係者の証言や当時の自治会記録によると、決定打となったのは以下の3点です。
- 重大な落水事故の再発:ライフジャケットを着用せずに夜釣りをしていたアングラーの転落事故が重なり、管理責任を問われる土地改良区および甲府市が強硬な安全対策を迫られたこと。
- 深刻なゴミ問題と近隣トラブル:ライン(釣り糸)や針、ワームの放置による水鳥の被害、路上駐車による農業用車両の通行妨害、夜間の騒音に対する地域住民からの度重なる苦情。
- 堤体補修と外来種管理:池の老朽化に伴う決壊防止工事、および生態系保全のための管理体制の抜本的刷新。
アングラーの間で「巨大魚がすべて処分された」「死体捜索のために行われた」と尾ひれをつけて語られた竜華池の水抜き(かいぼり)の真相についても、公的記録は明確です。これは都市伝説のようなオカルト的理由ではなく、老朽化した堤体の耐震点検、堆積土砂の浚渫(しゅんせつ)、および農業用水の水質適正化を目的とした正規の土木維持管理事業でした。この水抜きを機に魚類の生息環境は一変し、安全確保の観点から「全面釣り禁止」が恒久的なルールとして法的に固定化されたのです。