インターネット上の掲示板や知恵袋などで頻繁に見受けられるのが、「石塚運昇さんが亡くなったから、新劇場版で平田広明さんに声優が変わったのか?」という疑問です。しかし、この言説は明確な事実誤認に基づいています。ここで一度、公式発表データをもとに正確なタイムラインを整理しておかなければなりません。
映画『新劇場版 頭文字D Legend1 -覚醒-』が全国公開されたのは2014年8月23日のことです。当時、原作漫画の連載完結に合わせて「新たな映像表現と最新の音響技術で、若い世代へ向けたリブートを行う」という明確な制作方針が打ち出され、拓海役の宮野真守氏をはじめとする主要キャスト全員が一斉に刷新されました。つまり、文太役が平田広明氏にバトンタッチされた理由は、不幸な訃報による代役ではなく、作品全体のフルリブートという企画上の判断だったのです。
一方、初代文太を務めた石塚運昇氏が所属事務所(青二プロダクション)を通じて訃報を伝えられたのは、それから4年後の2018年8月17日でした。公式発表資料によると、石塚氏は食道がんのため同年8月13日に逝去。享年67という若さでした。この時系列のズレを認識しないまま情報が拡散された結果、「亡くなったことで新劇場版の声優が変わった」という誤った因果関係が定着してしまったのが交代劇の真相です。