ブームの過熱に伴い、週刊誌やワイドショーがこぞって書き立てたのが「ダブル浅野の不仲説」でした。「控室が別棟でなければ機嫌を損ねる」「衣装のカラーコーディネートを巡ってスタイリストが火花を散らした」「どちらのヘアスタイルがよりなびいているかで撮り直しを要求した」といった真偽不明のエピソードが世間を賑わせたものです。
しかし、後年の回想録や民放の対談特番(『ボクらの時代』等)でふたり自身が明かした証言を検証すると、不仲説の「構造的な実態」が見えてきます。
当時、現場では互いに並々ならぬプロフェッショナリズムと緊張感があったことは事実です。浅野ゆう子は過去のインタビューで次のように語っています。
「仲良くおしゃべりするような雰囲気では決してなかった。けれど、それは嫌っていたからではなく、お互いが背負っているプレッシャーが凄まじかったから。彼女(浅野温子)の芝居に絶対に負けたくないというプライドが、私を女優として立たせてくれていた」
対する浅野温子も「ゆう子さんが現場でドンと構えていてくれたから、私は自由に暴れることができた」と振り返っています。過密スケジュールと強烈な視聴率至上主義の中で、ふたりは甘えのない「孤高の戦友関係」を保っていました。それをメディア側が「女同士の足の引っ張り合い」という短絡的な構図に矮小化して報じたことこそが、不仲説が一人歩きした真相です。
その証拠に、2013年にはスペシャルドラマ『抱きしめたい!Forever』で25年ぶりの本格共演を果たし、息の合った掛け合いを披露。さらに2020年代以降も互いの舞台公演や活動へ温かいエールを送り合うなど、成熟した信頼関係を証明しています。