目の裏に虫が入った!?眼球の構造から暴く真相と安全な取り出し方

目の裏に虫が入った!?眼球の構造から暴く真相と安全な取り出し方

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物理的に奥へ行かないとすれば、激しい痛みのあとに忽然と消えた虫は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。臨床現場の診断において、目に入った虫を見失った理由は主に3つのパターンに集約されます。

第一に、瞬きによって分泌された大量の涙とともに、すでに目頭や目尻から体外へ流れ落ちているケースです。異物が侵入した瞬間、目の防御反射として大量の涙液が分泌されます。激しく瞬きを繰り返すうちに、本人が気づかないスピードで涙と一緒に押し流されている事実は極めて多く見られます。

第二に、結膜嚢の深い溝(上まぶたや下まぶたの奥深くにある結膜円蓋部)に虫が潜り込んでいるケースです。このポケット状の溝に入り込むと、正面から鏡を覗き込むだけでは影になって視認できません。特に上まぶたの奥は奥行きがあり、まぶたをしっかり反転させない限り肉眼で捉えるのは困難です。

そして第三が最も患者を混乱させる要因である、虫が取れた後の異物感です。「まだ虫が這い回っているようなゴロゴロ感が消えない」と眼科に駆け込む患者の目を細隙灯顕微鏡(スリットランプ)で診察すると、虫はとっくに存在せず、角膜の表面に無数の細かい引っかき傷(角膜上皮剥離・角膜びらん)だけが残っている事例が頻発しています。

角膜の知覚神経(三叉神経の眼神経枝)は、人体のあらゆる皮膚組織の中で最も神経終末の密度が高く、痛覚過敏な器官です。髪の毛が1本触れただけでも激痛を感知するセンサーであるため、虫が暴れたり足を引っかけたりして生じたミクロン単位の傷があるだけで、脳は「まだ異物が居座っている」と強烈に錯覚し続けます。異物感があるからといって、必ずしも虫が目の中に残っているとは限らないのです。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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