グリンデルバルドというキャラクターの受容史を語る上で、主演俳優の電撃交代劇を避けて通ることはできない。ハリウッドの映画産業全体を揺るがしたこのキャスティングの変遷は、結果としてキャラクターの解釈に驚くべき多面性をもたらすことになった。
ジョニー・デップが演じたグリンデルバルドは、異彩を放つ白髪とオッドアイが印象的な、アジテーターとしてのロックスター像だった。劇場型のパフォーマンスで大衆を熱狂させる姿は、既存の秩序を破壊する革命家の狂気を鮮明に焼き付けた。一方で、急遽バトンを引き継いだマッツ・ミケルセンは、洗練されたスーツを纏う冷徹な政治家としてのアプローチを選択。感情の揺らぎを最小限の視線や仕草で表現するマッツの演技は、ダンブルドアとの間に漂う親密さと冷酷なリアリズムを際立たせ、批評家から絶賛を浴びた。