インターネット上の掲示板やSNSでは、『Summer』に関して事実とは異なる言説が時折見受けられます。音楽ライターとしての取材データに基づき、代表的な2つの誤解を正します。
誤解1:「Summerの原曲はジブリ映画のお蔵入り曲だった?」
ネットの一部で「もともとジブリ作品のために書かれたボツ曲を北野映画に流用した」という噂が囁かれることがありますが、これは完全な誤りです。久石氏本人が自著『パラレル・ワールド』等の著作で明言している通り、本作は北野映画『菊次郎の夏』のシナリオを読み込み、映画全体のトーンに合わせてゼロから書き下ろされた純粋なオリジナル楽曲です。
誤解2:「CD音源はすべて久石譲のソロピアノである?」
映画サントラ盤に収録されているメインバージョンは、ピアノソロではなく「ピアノ+ストリングス(弦楽アンサンブル)」の編成です。完全なピアノソロ版として広く親しまれているのは、2002年にリリースされたセルフカバー・アルバム『ENCORE』に収録されたテイクです。サントラ版のダイナミックな広がりと、ソロ版の研ぎ澄まされた内省感という、アレンジによる表情の違いを聴き比べるのも本作の醍醐味です。