不祝儀袋へお金を収める際、最も多くの人が不安を抱くのが「お札の向き」です。結婚式などの祝儀では「肖像画を表・上向き」にして慶びを誇らしく表しますが、弔事における不祝儀袋お札の向きは完全にその対極となります。
葬儀や法要の現場で推奨されている作法は、不祝儀袋(中袋)の表面に対して、お札の肖像画が「裏側」、そして「下向き(袋の底側)」になる配置です。
この香典肖像画の向き裏表には、古くから受け継がれてきた精神的な理由が存在します。肖像画を裏に向ける行為は「故人の逝去というあまりの悲しみに、顔を伏せて涙に暮れている」という弔意の表れです。また、肖像画を下に向けることには「悲しみに沈む」「うなだれて言葉を失う」といった心情が重ね合わされています。
お金を入れる手順は次の通りです。
まず、お札の表面(肖像画が描かれている面)を手前に向けます。そのままお札を裏返し、肖像画が描かれた人物の頭が下(底)になるよう回転させます。中袋の表(「御霊前」や「金 壱萬圓」と書く側)から見て、お札の肖像画が見えず、裏面の風景や建造物の絵柄が上部に見える状態になっていれば間違いありません。
複数枚のお札を包む場合は、すべての紙幣の向きを厳密に統一することが不可欠です。向きがバラバラの状態で封入されていると、受付で金額を確認する遺族側の係員に無用な手間をかけさせるだけでなく、「急造で雑に準備した」という悪印象を与えかねません。
近年増えている中袋がないタイプの略式不祝儀袋(直接お札を入れる印刷水引の封筒)であっても、この基本原則は全く同じです。封筒の表側に対して、肖像画が裏側かつ下部に来るように収めます。