旅の大きな目的となるのが、日本三大和牛の1つに数えられる近江牛グルメと、独特の見た目で知られる郷土食材です。しかし、ネット上には「どこのコロッケも同じ」「赤こんにゃくは辛いのではないか」といった誤解や疑問が散見されます。現地の製造現場や歴史的背景を取材すると、興味深い事実が浮かび上がってきます。
二大巨頭の個性を比較:千成亭 vs カネ吉山本
近江牛コロッケ人気店として真っ先に名前が挙がるのが、八幡堀至近の「千成亭 八幡堀店」と、地元精肉店として名高い「カネ吉山本 八幡店」です。千成亭のコロッケ(税込200円前後)は、近江牛の挽肉から溶け出す上質な脂と粗みじんの玉ねぎの甘みが際立ち、ソースなしでも濃厚な旨味が口いっぱいに広がる仕上がりです。観光導線の真ん中に位置するため、揚げたてを求めて終日行列が途切れません。
一方、カネ吉山本の「カネ吉コロッケ」は、創業明治29年の歴史を感じさせる王道のホクホク系です。厳選された北海道産じゃがいもに和牛ミンチのコクが溶け込み、衣のきめ細やかなサクサク感は冷めても損なわれません。地元住民が夕食用にまとめ買いしていく姿が日常的に見られ、肉屋本来の確固たる技術力を物語っています。
真っ赤な見た目の正体:近江八幡名物赤こんにゃくの真相
八幡堀周辺の串刺しスタンドやおでん屋で目を引くのが、鮮烈な赤色をしたこんにゃくです。「激辛なのではないか」「着色料の塊ではないか」と警戒する旅行者もいますが、これは完全な誤認です。近江八幡名物赤こんにゃくの真相は、唐辛子ではなく三二酸化鉄(食品添加物)による発色です。
織田信長が派手さを好んで赤く染めさせたという伝承が広く語り継がれていますが、科学的・栄養学的な観点からも鉄分が豊富に含まれており、特有のこんにゃく臭さが抑えられて味が染み込みやすいという優れた特性を持っています。食感は非常にプリプリとしており、ダシの利いた煮込みを口に運ぶと、見た目とのギャップに驚かされるはずです。
また、近年人気が急上昇しているのが近江牛握り寿司食べ歩きです。A5ランクの霜降り肉をバーナーで軽く炙り、特製タレやワサビ、滋賀県産米のシャリと合わせた一品は、口に入れた瞬間に体温で脂が溶け出します。1貫500円〜1,000円前後の贅沢な一口ですが、上質な肉の風味を短時間で味わえる贅沢な選択肢として定着しています。