土地家屋調査士試験の午後試験は、制限時間2時間30分(150分)。このわずかな時間内に、高度な法解釈を問う「択一式20問」を解き、さらに「土地1問・建物1問の計2問の記述式」をこなさなければなりません。時間配分の現実的な目安は以下の通りです。
- 択一式20問:30〜40分(1問あたり約1.5〜2分)
- 土地記述式:50〜55分(座標計算、求積、地積測量図作図、申請書作成)
- 建物記述式:45〜50分(床面積計算、各階平面図・建物図面作図、申請書作成)
- 見直し・予備:5〜10分
このタイムスケジュールを見れば、1分1秒の猶予もないことが分かります。この過酷な時間制限をクリアするための生命線こそが、「関数電卓の複素数(Complex)計算」です。
従来の「数学的な座標計算」を通常の電卓で行うと、X座標・Y座標を個別にメモし、三角関数(sin, cos)を何度も打ち直す必要がありました。これに対し、複素数モードでは座標を「X + Yi」という1つの数値としてメモリに記憶させることができます。方向角の計算、交点計算、面積計算(座標法求積)のキーストローク数が劇的に削減され、計算スピードは従来の2倍以上、何より「書き写しミス・入力ミス」を極限までゼロに抑え込むことが可能になります。
さらに記述式の合否を左右するのが、三角定規(字消し板、分度器、0.3mm/0.5mmシャープペンシル)を駆使した「手書き作図」の習熟です。地積測量図や建物図面は、枠線からのズレや線の太さ、文字のかすれで容赦なく減点されます。頭で理解するだけでなく、スポーツや楽器演奏と同様に「手が勝手に作図プロットを完了する身体的反射」が完成するまで、最低でも50〜80枚の実戦図面を描き込む鍛錬が求められます。