多くの購入検討者が抱く最大の疑問が、「裏地がなくて真冬に寒くないのか」という点です。結論から言うと、リバーコートの防寒性と暖かさの秘密は、ダブルフェイス生地の内部に形成される「空気の層(デッドエア)」にあります。
2枚のウール生地を糸で繋ぎ合わせた二重構造は、生地と生地の間に体温で温められた空気をしっかりと抱え込みます。ダウンジャケットが羽毛の隙間に空気を蓄えて熱を逃がさないのと同様の物理現象が、ウール繊維の内部で起きています。繊維検査機関のデータや生地メーカーの実測値においても、一般的な目付(生地1平方メートルあたりの重量)450g〜600gのダブルフェイスウールは、薄手の裏地付きコートと同等以上の断熱効果を発揮することが証明されています。
ただし、気温が5度を下回る真冬の寒冷日や冷たい北風が吹き付ける環境下では、ポリエステル裏地のような遮風性(ウインドプルーフ性)がないため、風が生地の織り目を通り抜けて冷えを感じる場合があります。この弱点を補うためには、薄手のインナーダウンや上質なカシミヤタートルネックを差し込むレイヤードが効果的です。秋口から春先までは軽やかな一枚羽織りとして、厳冬期はレイヤードスタイルで温度調節を行うことで、実質的に11月から3月下旬までの約5ヶ月間という非常に長いシーズンを快適にカバーできます。