車を廃車になるまで乗る「乗り潰し」は、一見すると車両購入代金を最大限に薄めることができるため、経済合理性が最も高い選択肢に見えます。しかし、そこには見過ごせない負の側面も潜んでいます。
乗り潰す最大のメリット:生涯コストの圧縮
最大の恩恵は、減価償却の極大化です。新車で200万円の軽自動車を購入し、5年で手放せば年間あたり40万円(売却益を差し引いても年20万円以上)の車両代がかかりますが、15年乗れば年あたり約13.3万円までコストが下がります。月々のローン支払いやリース料から長期間解放される安心感は、家計にとって強烈なアドバンテージです。
乗り潰すデメリットと潜むリスク:税金の重課と安全装備の陳腐化
一方で、手痛いペナルティも待ち構えています。初度検査年月から13年が経過した軽自動車は、軽自動車税(種別割)が年額10,800円から12,900円へ約20%増税されます。さらに車検ごとの自動車重量税も、13年経過、18年経過の2段階で引き上げられます。
さらに深刻なのが、中古車市場における下取り相場の急落です。軽自動車の中古車オークション相場データを見ると、車齢10年または走行距離10万キロを超えた個体は、国内外の再販ルートにおいて「商品価値」から「スクラップ・解体メタル相場」へと評価基準が切り替わります。人気車種であっても査定額が5万円以下、あるいは「廃車手数料と相殺でゼロ円」になるケースが急増します。
加えて、ここ10年で飛躍的に進歩した衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や踏み間違い衝突防止装置、側方カーテンエアバッグといった安全装備が備わっていないため、高齢者や運転が苦手な家族が乗る場合の事故リスクを金銭に換算すると、決して「安い」とは言い切れない側面が生じます。