「焙じているからカフェインが飛んでいる」「玄米が入っているから薄まっているはず」――こうした消費者の思い込みに対し、専門の研究機関や製茶関係者は警鐘を鳴らし続けています。カフェインは昇華性(熱によって気化する性質)を持つものの、一般的な焙煎温度(約200度前後)で完全に消失することはなく、ほうじ茶のカフェイン含有量は100mlあたり約20mgと、一般的な煎茶の浸出液とほぼ同水準の数値を維持しています。
店頭で目にする「デカフェ」「ノンカフェイン」「カフェインレス」という表記の混同も、消費者の不安を招く一因です。公正競争規約や食品表示の現場基準を整理すると、その違いは明確に定義づけられています。
「デカフェ」および「カフェインレス」は、本来カフェインを含む緑茶や紅茶、コーヒー豆から、超臨界二酸化炭素抽出法や水抽出法などの特殊な技術を用いてカフェインを90%以上除去した飲料を指します。つまり、限りなくゼロに近いものの、分析機器の検出限界レベルでごく微量のカフェインが残留している可能性があります。一方で「ノンカフェイン」または「カフェインフリー」は、麦、大豆、トウモロコシ、ルイボスなど、植物の生息段階からカフェインを全く合成しない植物原料100%で作られたお茶にのみ許される呼称です。
1mgのカフェイン摂取すら避けたい厳格なマタニティ期や、カフェイン過敏症を抱える人が手に取るべきは、加工によって取り除いたデカフェ緑茶ではなく、原料そのものがゼロである穀物茶やハーブティーです。この境界線を曖昧にしたまま「お茶だから安心」と選ぶことは、思わぬ体調変化を招くリスクを孕んでいます。