行政機関が提示するガイドラインを紐解くと、「水2リットル神話」の歪みが見えてきます。厚生労働省が推進する「健康のための水を飲もう推進運動」では、「目覚めの1杯、寝る前の1杯をはじめ、あと2口、3口の水分を意識し、1日あたりあとコップ2杯の水を飲もう」と呼びかけられています。
成人男性(体重60kgを想定)が1日に失う水分量は、尿や便で約1.6リットル、呼吸や皮膚からの不感蒸泄で約0.9リットルの合計約2.5リットルです。これに対し、私たちが3度の食事から摂取する水分が約1.0リットル、体内の酸化燃焼によって生じる代謝水が約0.3リットルあるため、日常の飲料水として補うべき量は実質約1.2リットルが基準となります。運動で激しい汗を流す日や夏場を除き、食事をしっかり摂っている人が飲料水だけで機械的に2リットルを流し込む行為は、身体から見れば明らかに供給過多となる計算です。
個々人にとって最適な飲料水量を導き出すための基準が、体重別適正水分量計算です。基本となる計算式は以下の通りです。
1日に必要な総水分量(ml) = 体重(kg) × 30〜40(ml)
※飲料水としての目標値 = 総水分量 - 食事・代謝水分(約1.3L)
以下の表は、体格や運動負荷の違いによって、どれだけ必要な水分量が変動するかを整理した比較データです。