現場のリアルな実態を把握するため、支援級を選択した保護者コミュニティや教育相談窓口に寄せられた当事者たちの肉声と実態を検証します。
都内の公立中学校に自閉スペクトラム症(ASD)の息子を通わせた40代の母親は、次のように語ります。
「小学校高学年から普通学級のスピードについていけなくなり、一斉指示が通らないことで先生から毎日のように注意されていました。中学校進学を機に『自閉症・情緒障害特別支援学級』へ移ったところ、教室内の視覚刺激が最小限に抑えられ、パニックが劇的に減少しました。定期テストも個別ブースで別室受験させてもらえたおかげで実力を発揮でき、結果として偏差値50前後の私立高校に単願推薦で合格できました。あのまま普通学級にいれば二次障害で不登校になっていたはずです」
しかし、反対の体験談を明かす家庭も存在します。注意欠如・多動症(ADHD)と軽度知的障害を併せ持つ子どもの保護者は、内申点の壁に直面した苦渋の決断を振り返ります。
「地域の公立高校を目指していましたが、3年生の三者面談で担任から『知的障害支援級の教育課程に沿っているため、主要5教科の内申点は斜線になります。全日制の学力検査枠ではなく、定時制や通信制、あるいは高等専修学校を第一志望にしてください』と告げられました。1年生の段階でその説明を明確に受けていれば、受検対策や転級の選択肢を早くから動かせたのにという後悔が残りました」
このように、学校側からの制度説明の解像度と、家庭側の将来ビジョンに齟齬が生じたときに深刻なミスマッチが発生します。学校任せにせず、保護者自身が「個別教育支援計画」の作成面談の場で、評価方法と進路への影響を毎年度必ず確認する姿勢が求められます。