ネット上の住宅掲示板やSNSでは、第1種換気に関して極端な肯定論や否定論が飛び交っており、施主の判断を狂わせる誤解が定着しています。事実に基づき、代表的な2つの誤解を是正します。
1つ目の誤解は、「第1種換気にすれば、窓を開けての換気が一切不要になる」という言説です。確かに24時間換気は法的に必要な0.5回/hの換気量を担保しますが、大人数が集まった際の二酸化炭素の急増、あるいは料理で発生した強い油煙や魚の臭気を瞬時に排出する能力はありません。春や秋の心地よい気候の日に窓を開けて外の風を取り入れる「通風」は、住まい手の心理的開放感にとっても極めて有効です。「第1種だから窓を開けてはいけない」のではなく、外気温や花粉の飛散状況に応じて機械換気と自然換気を賢く使い分ける視点が欠かせません。
2つ目の誤解は、「第3種換気は安物であり、現代の高気密住宅には適さない」という偏見です。北欧のスウェーデンをはじめとする環境先進国でも、構造が極めてシンプルでダクト内結露のリスクがない「排気型集中換気(第3種換気)」が長年にわたり信頼性の高いシステムとして標準的に採用されてきました。給気口に高性能な自然給気フィルターを装着し、建物全体の断熱材と窓サッシ(トリプルガラス等)の性能を極限まで高めておけば、第3種換気であっても十分に暖かく、快適で健康的な空気環境をつくり出すことは可能です。「第1種=高級で優れている、第3種=コストダウンの劣悪品」という短絡的なレッテル貼りは、住宅のトータルコスト配分を誤らせる原因となります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
建築環境の数値データと、住まい手の心理的・身体的持続可能性の双方を検証した結果導き出される、第1種換気を選ぶべき人・避けるべき人の明確な判断基準は以下の通りです。
▼第1種換気の導入を強くおすすめできる家庭
- 家族内に重度の花粉症、ハウスダスト、喘息などのアレルギー疾患者がいる。
- 幹線道路沿い、線路脇、工場地帯など、外気の粉塵・排ガスや外部騒音をシャットアウトしたい立地に建てる。
- 寒冷地(断熱地域区分1〜4地域)に居住し、冬場の冷気侵入を極限までゼロに近づけたい。
- 月1回程度のフィルター掃除や、10年ごとの計画的な設備修繕積立を苦にせず実行できる規律がある。
- 気密施工に定評があり、C値0.7以下を公約・実測してくれる住宅会社で建築する。
▼第1種換気ではなく第3種換気を検討すべき家庭
- 高所作業や機械のお手入れ、フィルター清掃などの家事タスクを可能な限り減らしたい。
- 建築時の総予算に余裕がなく、初期費用を換気設備よりも「断熱材の付加断熱」や「樹脂サッシのグレードアップ」に回したい。
- 温暖地(5〜7地域)に居住しており、冬の冷え込みがそこまで厳しくない。
- 10〜15年後の機器交換にかかる数十万円の臨時出費に心理的抵抗がある。
- 依頼する住宅会社が気密測定を標準化しておらず、気密性能(C値)に自信を持っていない。