浜木綿子と元夫・三代目市川猿之助の離婚理由は、歌舞伎界のみならず芸能界全体を揺るがすスキャンダルでした。猿之助が日本舞踊の師匠であった女優・藤間紫のもとへと走り、同棲を始めたことが直接の原因です。
最愛の夫に去られた浜木綿子の無念と悲しみは計り知れませんでしたが、彼女は取り乱すことなく前を向き、女優業と子育てに全エネルギーを注ぎ込みました。一方の香川照之は、成長するにつれて「自分を捨てた父」の存在を意識せざるを得なくなります。
香川照之が23歳のとき、俳優デビューを機に父の楽屋を訪ねた有名なエピソードがあります。長年の空白を埋めようと勇気を出して面会を求めた香川に対し、父・猿之助が放った言葉は冷酷そのものでした。
「今の私とあなたとは何の関わりもない。あなたは息子ではありません。私はあなたのお父さんでもなければ、師匠でもない」
この冷徹な拒絶によって父子の関係は完全に断絶。香川照之は「父親の名前には一切頼らない」と誓い、叩き上げのバイプレーヤーとして日本アカデミー賞をはじめとする数々の賞を受賞するトップ俳優へと駆け上がっていきました。