フィクションの枠組みを超え、より事件の実相に踏み込んだアプローチとして知られるのが『コンクリート』だ。ノンフィクション作家の藤井誠二が綿密な取材に基づいて執筆したルポルタージュをコミカライズした本作は、当時の少年法や社会のセーフティネットの欠如に直接的な光を当てた。
犯罪の過程を無闇に煽るのではなく、加害少年たちの家庭環境、地域社会の無関心、そして被害者遺族の終わらない苦痛を冷徹な視点で可視化している。事実の重みを漫画というメディアに移しかえる作業は、読者に対して「なぜ事件を防げなかったのか」という重苦しい問いを投げかけ続けている。