映画『カーズ』のオリジナル・サウンドトラックは、ディズニー・ピクサー作品の中でも屈指の完成度を誇る名盤として音楽評論家からも高い評価を受けています。劇中盤で描かれるのは、高速で目的地へ移動するためだけに作られた巨大な「州間高速道路(インターステート)」の普及によって衰退し、忘れ去られてしまったかつてのメインストリート「ルート66」と、そこに暮らす寂れた田舎町ラジエーター・スプリングスの住民たちの絆です。
サントラの収録曲一覧を振り返ると、ランディ・ニューマンが作詞作曲しジェームス・テイラーが歌う哀愁漂うバラード「Our Town」、シェリル・クロウの荒々しいガレージロック「Real Gone」、ブラッド・ペイズリーの温もりある「Find Yourself」、そしてチャック・ベリーの名曲をジョン・メイヤーがカバーした「Route 66」など、アメリカのルーツ・ミュージックが惜しみなく配置されています。その中で「Life is a Highway」は、スピード至上主義の現代社会と、古き良きロードカルチャーをつなぐ架け橋としての役割を一手に担っています。
歴代の『カーズ』シリーズを俯瞰しても、続編『カーズ2』ではウィーザーによる「You Might Think」やパフュームの挿入歌起用、『カーズ/クロスロード(カーズ3)』ではZZワードやダン・オーバックによる泥臭いブルースロック「Run That Race」へと音楽性が受け継がれていますが、シリーズ全体の根幹にある「人生とは勝敗を競うレースではなく、旅路そのものを楽しむドライブである」というメッセージを最もストレートに表現しているのは、初代の「Life is a Highway」です。