華々しいメジャーシーンでの成功の裏には、苛烈なアンダーグラウンド時代が存在しました。JILLの音楽的ルーツは、1980年代初頭の日本の初期パンク・ニューウェイヴシーンに深く根ざしています。新宿ロフトなどを拠点に女性パンクバンド「THE TOYS」で活動していた彼女は、その強烈な個性と野性味あるボーカルスタイルで、東京のインディーズ界隈で早くから異彩を放っていました。
その才能に目をつけたのが、日本のゴシック・ポジティブパンクの始祖として知られる「AUTO-MOD(オート・モッド)」のジュネでした。JILLは一時期AUTO-MODのバッキングコーラスとしてステージに立ち、そこで当時同バンドのサポートメンバーを務めていたベーシストの渡邉貢、ギタリストの本田毅と巡り合うことになります。アンダーグラウンドの濃密な熱気の中で培われた表現力は、後のPERSONZの骨格を形作る決定的な契機となりました。
1984年、JILLを中心に本田毅、渡邉貢、そしてドラマーの藤田勉が集結し、PERSONZが正式に結成されます。当時の日本のインディーズレーベル黎明期において、自主レーベル「HEAD WAX」からリリースしたレコードは瞬く間に完売。1987年にテイチクのBAIDISレーベルからメジャーデビューを果たします。「男社会」の色が濃かった80年代バンドブームの中で、女性フロントマンとしてバンドを牽引した彼女の軌跡は、まさに闘争の歴史そのものでした。