クイック自炊に対して、「野菜が足りないのではないか」「添加物や濃い味付けに頼って不健康になるのではないか」という懸念を抱く人は少なくありません。しかし、現代の食品科学や栄養学のデータは、その先入観を明確に否定しています。
第一の誤解は、「カット野菜や冷凍野菜は生野菜より栄養が劣る」という言説です。国民生活センターや農研機構などの研究データによると、旬の時期に急速冷凍された市販のブロッコリーやホウレンソウ、冷凍コーンなどは、収穫から数日経過してスーパーの棚に並ぶ生野菜と同等、あるいはそれ以上のビタミンCやβ-カロテンを保持しています。鮮度低下によるビタミン分解を免れているため、むしろ手軽に良質な微量栄養素を摂取する手段として合理的です。
第二に、電子レンジ調理に対する懸念です。ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンは、大量のお湯で長時間茹でると50%以上が茹で汁へ溶出することが分かっています。対照的に、少量の水分あるいは食材自体の水分で蒸し上げる電子レンジ加熱は、ビタミン残存率が80〜90%以上と極めて高い数値を示します。「手間の省略」が結果的に「栄養素の温存」に直結しているという事実は、忙しい生活者が知っておくべき科学的真実です。