下処理の段階で料理の仕上がりは8割決まります。ここで多くの人が陥っている最大の盲点が、アク抜きと変色防止を目的とした「酢水」の使い方です。
【盲点の是正】酢水に長時間さらすと硬くなる?
「れんこんは切ったらすぐ酢水にさらす」というのが料理本の定説ですが、れんこんの煮物の下処理として酢水を過剰に使うのは逆効果になるケースがあります。酢に含まれる酸は、植物の細胞壁を構成するペクチンを硬化させる働きを持っています。酢水に10分以上放置したれんこんを煮物にすると、どれだけ火にかけてもシャキシャキを通り越して「ガリガリ」とした硬さが残り、味が内部へ染み込むのを物理的に阻害してしまうのです。
煮物において求められるのは、味が染みたしっとり感や適度なほくほく感です。水溶性のデンプンを洗い流して表面の濁りを取る程度であれば、真水に2〜3分さらすだけで十分です。白だし煮のように白さを極限まで残したい場合のみ、薄い酢水(水500mlに酢小さじ1程度)に1〜2分潜らせ、速やかに水気を切るのが正解です。
味の絡みを最大化する「乱切り」の切り方
薄い輪切りや半月切りはきんぴらには適していますが、煮物ではれんこんの煮物を乱切りにする切り方が圧倒的に適しています。
乱切りは、れんこんを回しながら包丁を斜めにリズミカルに入れていく技法です。切り口の角度が不規則になることで、単なる輪切りに比べて表面積が約1.4倍に拡大します。さらに、細胞が斜めに断ち切られる面積が増えるため、そこから煮汁がグングン吸い上げられ、短い加熱時間でも表面全体にタレがしっかりと絡みつく構造が完成します。