どれほど完璧な温度管理を行っても、選んだ品種が昔ながらの「粉質(ホクホク系)」であれば、喉が詰まるような食感の焼き芋にしかなりません。ねっとり系を目指すなら、品種選びが全体の成否の8割を握っています。
現在、市場で手に入るねっとり系の代表格が「紅はるか」です。後から追ってくる強烈な甘みと、スプーンで崩れるほどの柔らかな果肉が特徴です。紅はるかの焼き芋でねっとりした蜜感を極限まで引き出すには、低温調理後に粗熱を取り、冷蔵庫で一晩冷やすレシピが知る人ぞ知るプロの技です。冷やすことで麦芽糖の甘みが凝縮し、まるで冷製スイートポテトのような重厚なデザートへと昇華します。
元祖ねっとり系として根強い人気を誇る安納芋の焼き芋の作り方では、水分の蒸発を防ぐことが最優先されます。安納芋はもともと水分量が多くショ糖を豊富に含むため、アルミホイルを隙間なく二重に巻いて「蒸し焼き」状態を維持することで、クリームのような極上の滑らかさを堪能できます。
また、なめらかさを極めたいならシルクスイートの焼き芋レシピが推奨されます。2012年に登場した比較的新しい品種ですが、絹のような繊維質のキメ細かさと上品な甘さで支持を拡大しています。水分がやや抜けやすいため、塩水にしっかり漬けた後にアルミホイルで密閉し、160℃のオーブンでじっくり火を通すのが理想的です。