インターネット上では「井手上漠の性別は男なのか女なのか」「戸籍を変更したのか」といった検索が絶えません。これに対し、本人は一貫して「性別ないです」という言葉で自らのアイデンティティを表現しています。
戸籍上・生物学的な出生時の性別は男性ですが、幼少期から「可愛いもの」「美しいもの」に自然と惹かれ、人形遊びやメイクに興味を持って育ちました。小学校高学年の頃、周囲から「男のくせに」「気持ち悪い」と心ない言葉を浴びせられ、一度は髪を短く刈り上げて無理に「男の子らしく」振る舞おうとした苦痛の時期を経験しています。
その苦悩を打破したのが、中学3年生の時に出場した「第39回少年の主張全国大会」でした。自身の葛藤と「自分らしく生きることの大切さ」を語ったスピーチ『カラフル』で文部科学大臣賞(全国2位)を受賞。この体験が、世間の「男らしさ」「女らしさ」という二元論的な枠組みに自分を押し込めるのではなく、「井手上漠というひとつの存在」として生きる覚悟へとつながりました。
2026年に講談社から上梓されたフォトエッセイ『normal?』の中でも、「普通とは何か」「性別とは誰が決めるものなのか」について赤裸々に綴られており、現在も多くの若者や当事者、教育関係者に勇気を与え続けています。