ひらがな「よ」の書き順はどっちが先?大人が迷う理由と美文字の秘訣

ひらがな「よ」の書き順はどっちが先?大人が迷う理由と美文字の秘訣

ひらがな「よ」の書き順はどっちが先?大人が迷う理由と美文字の秘訣についての真相をご紹介します。

なぜ「よ」は横棒から書かなければならないのか。その疑問を完全に氷解させる鍵は、文字の起源である漢字の成り立ち(字源)にあります。

日本の平仮名は、平安時代初期に万葉仮名(漢字の音を借りて日本語を表記する手法)の草書体をさらに簡略化して生み出されました。ひらがな「よ」の元の漢字は「与(旧字体:與)」です。

漢字の「与」の筆順を振り返ってみてください。「与」は、1画目に上の横棒(一)を引き、2画目に縦から折れて左へ向かい、最後に下の横棒(あるいは全体の結び)をまとめます。この「与」を流れるように素早く崩して書いた草書体のストロークが、そのまま「よ」の筆順ルールとして継承されているのです。

書道史の筆跡変遷を辿ると、以下のプロセスを経て「よ」が完成したことが分かります。

  1. 漢字「与」の第1画:上部の水平な横画(=ひらがな「よ」の1画目)
  2. 流れる筆脈(気脈):横画の右端で筆を止め、空中で左上へと戻りながら第2画の始点へ侵入する
  3. 漢字「与」の下部構造:縦に下ろした筆を左へ回し、全体の空間を包み込むように右へと抜ける(=ひらがな「よ」の2画目)

平仮名50音の筆順ルールは、決して人為的・無作為に作られた規則ではなく、「筆を紙から離さずに最も流麗かつ合理的に文字を繋げるための物理的必然性」に基づいて構築されています。「与」の草書体を理解していれば、横棒を差し置いて縦棒から書くことは運動力学的に極めて不自然であることが論理的に理解できます。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。