IQ(知能指数)が50〜69程度とされる軽度知的障害。この数値だけでは測れないのが、社会生活における「見えない壁」だ。子どもの頃は「少し勉強が苦手な子」で済んでいたものが、社会に出た途端に牙をむく。複雑な人間関係、臨機応変な対応、そして自己管理。これらが一気に押し寄せるからだ。
彼らの多くは、自分の弱点を隠すために必死で努力している。愛想よく振る舞い、他人の顔色を窺う。その結果、周囲からは「ちょっとおっとりしているけれど、いい人」と見なされやすい。しかし、その内面は常に限界ギリギリの緊張状態で満たされているのだ。