サウンドスケープ(音の風景)論の視点から見ると、店舗BGMは空間の居心地を左右する「目に見えないインテリア」です。ブックオフが展開してきたアグレッシブな音響戦略は、訪れる客層によって明確に向き・不向きが分かれます。
この演出がマッチするのは、「目的の本やゲームを素早く見つけ出し、テンポよく買い物を済ませたい人」や「活気ある空間で掘り出し物を探す宝探し感覚を楽しみたい人」です。明るく一定のリズムを刻む音楽は、決断を後押しし、直感的な買い物をサポートしてくれます。
一方で、「静かな空間でじっくり本の試し読みをしたい人」や「音響刺激に敏感で集中が途切れやすい人」にとっては、同じメロディの執拗なリピートは苦痛でしかありません。そうした利用者の自衛策として、ノイズキャンセリング機能付きイヤホンの装着や、混雑を避けた時間帯での利用が日常化しています。商業施設の音響設計は、効率的な販売促進と顧客の快適性というトレードオフの狭間で、今なお繊細なバランス調整を求められています。