北海道旅行の計画段階で誰もが一度は陥るのが、北海道の距離感の比較における致命的な誤認です。全国版の日本地図では、スペースの都合上、北海道だけ縮尺を小さくして枠内に収めているケースが珍しくありません。この視覚的なバイアスが、「札幌から旭川、美瑛、富良野、そして函館までを2泊3日で回れる」という非現実的な旅程を生み出す元凶となっています。
客観的な数値で見てみましょう。国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調によると、北海道の面積は83,424.08平方キロメートル(北方領土含む)。これはオーストリアやスイスといった欧州の一国に匹敵し、北海道の面積と本州の比較を行えば、東京都の約38倍、四国4県の合計の約4.4倍という途方もない広さです。
例えば、観光客に人気の「札幌〜函館」間の直線距離は約150kmですが、内浦湾(噴火湾)を迂回する実際の道路走行距離は約250km〜300kmに達します。これは本州で言えば「東京〜浜松(静岡県)」や「大阪〜名古屋往復」に相当する移動です。この圧倒的なスケールを頭に入れずに「北海道地図がわかりやすいから」と安易に線を引いてしまうと、旅行ではなく単なる長距離耐久ドライブと化してしまいます。