青うなぎの価格は、一般的なうな重の相場観を完全に超越しています。2026年現在、現地の専門店や銀座の割烹で提供される青うなぎの価格相場は、1尾あたり15,000円から25,000円前後、型が良く太い極上品になれば30,000円近くの値がつくことも珍しくありません。
この高騰の背景には、稚魚(シラスウナギ)の不漁に起因するウナギ全体の国際的な保護強化に加え、児島湾における生態系の変化があります。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいてニホンウナギは絶滅危惧IB類(EN)に指定されており、環境省も同様に危機的状況を警告しています。児島湾における天然青うなぎの漁獲量は年々細り、1日に数本しか揚がらない日も日常茶飯事となっています。
もしこの究極の逸品を食すのであれば、訪れるべき季節は極めて明確です。ウナギの一般的な旬は土用の丑の日(夏)と認知されていますが、青うなぎの真の旬は9月下旬から11月下旬にかけての秋です。
この時期の青うなぎは、産卵のために海へと下る準備を整える「下り鰻(くだりうなぎ/落ち鰻)」と呼ばれます。晩秋に向けて越冬および産卵回遊に備え、シャコを貪欲に食べ尽くして身幅を極限まで太らせます。その脂の乗り方は夏の個体とは比較にならず、包丁を入れた瞬間にまな板が脂で真っ白になるほどです。夏のあっさりとした身質も一興ですが、青うなぎ本来の爆発的な旨味を体感するなら、秋の落ち鰻シーズン一択であると断言できます。