脳の血管が一時的に詰まり、数分から24時間以内に症状が完全に消失する現象を一過性脳虚血発作(TIA)と呼びます。これは「脳梗塞の前触れ」であり、TIAを起こした患者の約10〜15%が90日以内に本格的な脳梗塞を発症し、その半数は48時間以内に発生すると報告されています。
しかし、20代脳梗塞の前兆は極めて日常的な不調に擬態します。「立ちくらみ」「低血圧」「眼精疲労」と自己判断して放置されやすいのが最大の特徴です。以下に挙げる症状がひとつでも突発的に現れた場合、決して安静にして様子を見てはいけません。
【初期症状チェックリスト:危険なサイン】
- 顔面の非対称:鏡を見たときに口角の片側が下がる、イーと歯を見せたときに左右均等に開かない。
- 片側の脱力・しびれ:片方の手からスマートフォンをポロッと落とす、箸がうまく使えない、歩行時に片足だけ引きずる。
- 言語異常:言いたい言葉が喉元でつかえて出てこない、ろれつが回らず「ラ行」が滑らかに発音できない、相手の言葉の意味が理解できない。
- 視野の欠落:片方の目が見えなくなる(一過性黒内障)、または両目で見たときに視界の右半分(あるいは左半分)だけが欠ける。
- 激しい後頭部痛・首の痛み:頸部動脈解離を疑う症状。バットで殴られたような痛み、あるいは筋違いのような痛みが持続した後にふらつきが出る。
命と機能を救う世界共通基準「脳梗塞FAST診断」
世界中で推奨されている救急判断指標が脳梗塞FAST診断です。この合言葉を頭に叩き込んでおくことが、治療可能なゴールデンタイムへの唯一の架け橋となります。
- F(Face / 顔):笑顔を作らせたとき、顔の片側が歪んでいないか。
- A(Arm / 腕):両腕を前にまっすぐ伸ばして目を閉じたとき、片方の腕が自然と下がってこないか。
- S(Speech / 言葉):簡単な文章(「太郎が花子にリンゴをあげた」など)を反唱させたとき、ろれつが回っているか。
- T(Time / 時間):上記3つのうち1つでも異常があれば、発症時刻を確認して迷わず119番通報する。