米国本社の経営危機や再編といった波乱の歴史を経ながらも、なぜ日本国内におけるブランド価値は衰えるどころか、むしろ洗練を増しているのか。その背景には、日本でのライセンス展開を担う事業体が築き上げた、極めて緻密なローカライズ戦略が存在する。単なる「アメリカン・ラグジュアリーの輸入」にとどまらず、日本の四季折々の味覚や職人技を貪欲に取り込みながら、ブランドの根幹にある「食の美学」をブレずに維持してきた成果だ。
現在、国内店舗で扱われる商品のラインナップを見ると、その先見性に目を見張る。伝統的なイタリアのオリーブオイルやフレンチのデリカテッセンと並んで、日本各地の伝統発酵調味料や有機無農薬栽培の和ハーブが極めて自然な形でフィーチャーされている。輸入食品の単なるセレクトショップから、グローバルとローカルが高次元で交差するハブへと脱皮した姿がそこにある。