来日中の滞在先で、マイケル・ジャクソンはある一冊のイラスト集を食い入るように見つめていた。ページをめくる彼の手を止めさせたのは、イラストレーター・いのまたむつみが描く、憂いを帯びた大きな瞳と流麗な髪のラインだった。マイケルは即座に周囲へ問いかけたという。「この絵を描いたアーティストは誰なんだ? 会うことはできるかい?」
実現した対面時、マイケルは彼女の画集を手放さず、子どものように目を輝かせながらディテールについて質問を重ねた。特に彼を惹きつけたのは、ファンタジー世界の中で躍動するキャラクターたちの生命力と、内面から発光するような色彩感覚だ。言語の壁など最初から存在しなかった。作品を指差しながら笑顔を交わすその空間には、最高峰の表現者同士にしか分からない無言の共鳴が確かに流れていた。