藤井聡太の棋士人生を振り返る上で、技術面で最も大きな影響を与えたのが永瀬拓矢です。二人は藤井聡太が中学生棋士としてデビューした直後から定期的な「VS(1対1の研究会)」を重ねてきました。「軍曹」の異名を持つ永瀬拓矢の圧倒的な研究量と妥協を許さないストイックさは、藤井聡太の序盤戦術の洗練に大きく寄与したとされています。
一方で、盤上での戦いは凄絶を極めます。2023年の第71期王座戦五番勝負では、永瀬拓矢が保持していた最後の砦である王座を巡り、最終盤までどちらが勝つか分からない歴史的名局が連発されました。研究パートナーだからこそ互いの長所も短所も熟知しており、永瀬拓矢は藤井聡太の勝率を最も削り取ってきた棋士の一人です。
また、かつて将棋界で「藤井聡太の天敵」と誰もが認めていたのが豊島将之でした。デビュー以来破竹の勢いで勝利を重ねていた藤井聡太に対し、豊島将之は初対局から公式戦6連勝を記録。深い序盤研究と正確無比な大局観で完封する姿は、ファンの間に「豊島だけは藤井に勝てる」という強烈な印象を植え付けました。その後、藤井聡太がタイトル戦で豊島将之を破り克服したものの、両者のハイレベルな名勝負は今なお将棋史のハイライトとして語り継がれています。