近年、美容皮膚科のハードルが劇的に低下した背景には、湘南美容クリニックをはじめとする全国展開の大手医療機関による価格破壊とアクセスの平易化がある。かつて一部の富裕層だけの特権だった美容医療は、週末のメンテナンス感覚で受ける大衆的な医療サービスへと姿を変えた。
厚生労働省の検討会でも議論される通り、施術件数の爆発的な増加に伴い、インフォームドコンセントの質をめぐる課題も浮き彫りになっている。流れ作業のようなカウンセリングで「数日でテープが取れて美肌になる」という過度な期待だけを植え付けられた患者が、数週間に及ぶ赤みやかさぶたの存在に動揺し、生活に支障をきたすトラブルも散見される。
巨大チェーンの強みは圧倒的な症例蓄積と機器の最新化にあるが、アフターケアの綿密さや経過診断における担当医の固定化という点では、患者側にもシビアな見極めが求められる。受療者側が「医療行為に伴う侵襲」を冷静に理解していなければ、利便性の裏にあるダウンタイムの現実に足元をすくわれることになる。