国際的な廃止の圧力に直面しながらも、日本政府が一貫して存続の姿勢を崩さない最大の論拠が、内閣府世論調査結果に示される圧倒的な国民的支持です。過去複数回にわたる調査において「死刑もやむを得ない」と回答した割合は一貫して約80%前後を推移しており、「死刑は廃止すべき」とする10%前後の回答を大きく引き離しています。
存続を強く支持する市民の声や司法関係者の議論を検証すると、根底にあるのは極めて切実な被害者遺族の感情です。無差別に家族の命を奪われた遺族の手記や法廷証言では、「加害者が刑務所の中で生き続け、税金で衣食住を保障されていること自体が耐え難い苦痛である」「命をもって償うこと以外に、奪われた魂へのケジメはつけられない」といった悲痛な叫びが繰り返し語られてきました。日本の刑事司法は、犯罪行為に対する「応報」としての処罰感情を鎮める機能を極めて重視する法文化を持っています。
さらに、法制度上の大きな空白として指摘されるのが、終身刑導入の遅れです。現在の刑法において、死刑の直下に位置する最高刑は「無期懲役」ですが、無期刑には法的に仮釈放の可能性が残されています。運用上は厳罰化が進み、服役期間が30年を超えるケースが大半であるものの、「将来社会に戻ってくる可能性があるのではないか」という社会的不安や遺族の恐怖が根強く存在します。すなわち、「社会から完全に隔離する代替手段」が法制化されていない現状が、市民に死刑存続を選択させる強い動因になっているといえます。