スクリーンに映し出される絢爛豪華な世界でも、3000万ドルは極めて象徴的なボーダーラインだ。かつてのハリウッド映画産業において、3000万ドルといえば中規模の良質なドラマやコメディを1本丸ごと撮り切るための標準的な制作費だった。しかし現在、ワーナー・ブラザースなどの伝統的スタジオからNetflixをはじめとするストリーミング巨人への主権移行に伴い、この資金の使途は激変している。
今日のブロックバスター級のSFアクション映画において、3000万ドルは「主演俳優1人のギャランティ」あるいは「クライマックスのVFX(視覚効果)シークエンス数分間」のためだけに一瞬で消費される。映画ビジネスが超巨大資本の殴り合いへと変貌する中で、この予算規模は作品全体の成否を握る重要なピースへと変質した。