鱗滝が育て上げた弟子の中でも、水柱となった冨岡義勇や、物語の主人公である竈門炭治郎との絆は特別なものだ。最終選別で次々と鬼に喰われていった弟子たちの無念を誰よりも背負ってきた鱗滝は、炭治郎と妹の禰豆子を家族のように愛し、守り抜いた。
「判断が遅い」と炭治郎の頬を打ったあの日の厳しさは、二度と弟子を死なせたくないという悲痛な願いの裏返しだった。禰豆子が人間を襲った際には自らも腹を破って切腹する覚悟を連名で文書に残した。天狗の面で素顔を隠しながらも、行動と背中で示した圧倒的な情愛。素顔が見えないからこそ、彼の言葉や一挙一動に宿る温もりがより一層際立つ構造になっている。