日本におけるカレー研究の第一人者である水野仁輔氏は、キーマカレーの本質について「肉の肉汁と旨味の結晶化」だと語る。トマト缶を使わない場合、課題となるのはグルタミン酸(旨味成分)の補填だ。
ここで活躍するのが、ケチャップやトマトペーストをはじめとするトマト加工品のパイオニア、カゴメの研究知見である。生のトマトや缶詰よりも濃縮された加工調味料は、少ない量で効率的にグルタミン酸(旨味成分)を供給できる。本場インド料理の技法でも、過剰な水分を嫌うドライタイプのキーマでは、フレッシュトマトの代わりに濃縮されたペーストや隠し味の調味料が好まれる。化学的な視点から見ても、缶詰を煮詰める手間を省く合理的な選択と言える。