名古屋の建築家一家に生まれ、兄にメタボリズム建築運動を率いた黒川紀章を持つ環境で育った彼は、早稲田大学大学院で建築を学んだ。1967年に独立し、株式会社黒川雅之建築設計事務所を設立。当初から巨大な構造物である建築設計と、手に収まるプロダクトデザインやインダストリアルデザインの双方に並行して取り組むスタイルを確立した。
多くのデザイナーが特定の専門領域に留まるなか、彼は領域の境界そのものを無意味だと捉えていた。スケールの大小にかかわらず、空間と人間の関係性を編み直す作業という意味で、現代建築の空間設計も小さなテーブルウェアのデザインも根底では繋がっている。この横断的な思考こそが、彼の多様な代表作を生む原動力となった。