ネット発のインディペンデントな活動を続けていた彼に、業界の大きな転換点をもたらしたのがショートテレビアニメ『いきものさん』(2023年放送開始)の原作起用でした。東映アニメーションがプロデュースを手がけ、ベルリン国際映画祭などで高い評価を得てきたインディペンデントアニメーション監督・和田淳氏が監督を務めたこのプロジェクトは、サブカルチャーとアートアニメーションが交差する画期的な試みとして大きな反響を呼びました。
作品内では、主人公の少年「むた」と相棒の「いがぐり」が様々な生き物と遭遇するシュールな日常が描かれ、YouTube版の過剰なスピード感とは一線を画す「間と余白の美学」が提示されました。ネット空間の消費スピードに最適化された才能が、伝統的な映像美学を持つトップクリエイター陣と衝突・融合したことで、はじめまして松尾ですという作家が単なる「ネットのウケ狙い」にとどまらない、卓越したアイデアと原案力を有している事実を業界内外に証明しました。