「ノームコア」という言葉は、英語の「Normal(ノーマル:標準・普通)」と「Hardcore(ハードコア:筋金入り・過激)」を組み合わせた造語です。日本語では「究極の普通」としばしば翻訳されますが、その本質は「ファッションに興味がない無頓着」とは対極に位置します。あらゆる過剰な装飾やトレンド競争を拒絶し、あえて誰もが持っている普遍的な定番服を誇りを持って選び取る態度そのものを指しているのです。 この言葉が公の記録に初めて現れたのは、2009年以前のウェブコミック『Templar, Arizona』とされています。その後、ニューヨークを拠点とするトレンド予測グループ「K-HOLE(ケーホール)」が2013年10月に発表した市場調査レポート『Youth Mode: A Report on Freedom』によって、世界的な社会現象として一気に拡散しました。 K-HOLEが提唱した本来のコンセプトは、単なる服のジャンルではありませんでした。インターネットの普及によって「他者と違う特別な自分でありたい」という強迫観念に疲弊した人々が、集団の中に溶け込むことで精神的な平穏と自由を手に入れるライフスタイル全般を論じたものです。しかし、2014年に米ニューヨーク・マガジン誌がファッションスタイルとして取り上げたことを契機に、世界的なメガトレンドへと昇華していきました。 その象徴として今なお語り継がれているのが、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズのアイコニックな姿です。三宅一生がデザインした特注の黒タートルネックに、リーバイス501の無骨な色落ちデニム、そして足元にはグレーのニューバランススニーカー。日々の決断疲れを回避するために同じ服を着続けた彼のスタイルは、機能性と合理性を極限まで追求した「シグネチャーとしてのノームコア」の原点として語り継がれています。
ノームコアとは何か?「究極の普通」がダサいと囁かれる真相と最新着こなし術
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