豊島屋のアイコンである鳩の造形には、100年以上の歴史に裏打ちされた必然性がある。明治27年(1894年)の創業当時、初代である久保田久次郎は、異人館で出会った舶来のビスケットに強い衝撃を受けた。試行錯誤の末に生み出された菓子は、本宮の本殿掲額にある「八」の字が向かい合う鳩の姿になっている鶴岡八幡宮への崇敬の念から、鳩サブレーと名付けられた。
境内を行き交う鳩の愛らしさと、神聖な八幡宮の記憶を宿したあのシルエット。久保田久次郎が直感したシンボリックな意匠は、時代を超えて普遍的な魅力を放ち続ける。現代のグッズ展開は突飛な思いつきではなく、初代が遺したグラフィックデザインの圧倒的な強さがあってこそ成立しているのだ。