映画ロケを契機とした人出の増加は、地元の観光・歴史文化財産業にも大きなインパクトを与えている。門前町として栄えた一身田の古い街並みには、和菓子店や伝統的な商家が立ち並び、寺参りの人々を温かく出迎える。文化財をただ「保護する対象」として保管するだけでなく、「生きている地域資源」として活用する試みが着実に結実しつつある。
もっとも、静寂と尊厳を保つべき信仰の場であり、貴重な国宝でもあるため、行き届いた保全と観光客の受け入れとのバランスは欠かせない。地域住民や自治体、そして寺院が一体となり、文化財の価値を損なうことなく次世代へ継承していく取り組みが、今まさに現地で進められている。