町を代表するシンボルといえば、山頂に佇む「みさと天文台」だ。口径105センチのカセグレン式反射望遠鏡を備え、星空環境保護の先駆けとして知られるこの施設が、体験型観光の起爆剤として再定義されている。
光害が極めて少ない澄んだ夜空は、現代人にとって何よりの贅沢だ。天体観測にとどまらず、暗闇の中で虫の声に耳を澄ませるナイトハイクや、森林の呼吸を感じるガイドツアーが次々と立ち上がっている。環境への負荷を最小限に抑えながら自然の価値を深く味わう「トラベル&エコツーリズム」の理念が、行政主導の掛け声ではなく、日々のフィールドワークとして息づいているのだ。
観測ドームのデッキに立つと、足元には街灯のない山並みが波打つ。夜の闇を「不便」ではなく「唯一無二の資産」へと転換した発想の転換こそが、この地のエコツアーを特別なものにしている。