名瀬港に大型クルーズ船が接岸するたび、街は一気に活気づく。地元飲食店にとっては悲願の経済効果だが、手放しでは喜べない現実もある。レンタカーの急増による慢性的な渋滞、ゴミのポイ捨て、そして聖なる場所とされる「御嶽(うたき)」への無断立ち入り。静かだった集落の日常は、確実に変わりつつある。
「朝の散歩道が、いつの間にか観光客の自撮りスポットになってしまった」と、市内で暮らす70代の女性はため息をつく。地域社会が受け入れられる限界値、いわゆる「観光キャパシティ」の議論は、もはや避けて通れない段階に来ている。