手の震えに関して最も蔓延している有害な誤解が、「気合いで震えをねじ伏せようとする行為」です。
神経生理学的に、震えを止めようと指先に力を込めると、曲げる筋肉(屈筋)と伸ばす筋肉(伸筋)が同時に強く収縮する「共収縮」が発生します。本来は片方が緩むことで滑らかな線が引けるはずが、両方に力が入ることで関節がロックされ、結果として反動による凄まじい痙攣と震えを引き起こす悪循環に陥るのです。
さらに危険なのが、「お酒を飲むと一時的に震えが止まるから大丈夫」という自己判断です。本態性振戦ではアルコールによって一時的に中枢神経が抑制され、震えが軽快する現象(アルコール反応性)がよく見られます。しかし、これは疾患の根本治癒ではなく、常用すればアルコール依存症や肝機能障害を招く極めてハイリスクな行動に他なりません。