「どうすれば可愛い文字が書けるの?」という疑問に対し、タイポグラフィデザイナーや文具プランナーへの取材から見えてきた結論は極めてシンプルです。可愛い文字の設計には、「視覚重心の低位置化」「曲線の均一化」「内側余白の確保」という3つの黄金比が存在します。
認知心理学において、人間は頭部が大きく重心が低い造形に対して本能的に愛着や親しみ(ベビースキーマ効果)を感じることが実証されています。これを文字に応用するのが、可愛い字の書き方のコツにおける基本中の基本です。
具体的な実践手順は以下の3ステップに集約されます。
第一に、「文字の重心を通常より2〜3割下げる」ことです。例えば「あ」「お」「木」「大」などの交差するポイントや横線を、マス目の中心よりもやや下側に配置します。これだけで、どっしりとした安定感と愛らしさが同時に生まれます。
第二に、「折れ曲がる角に丸みを持たせる」ことです。漢字の「口」やカタカナの「コ」「ロ」などの直角部分を、あえて小さな弧を描くように丸くカーブさせます。角張った要素を削ぎ落とすことで、デジタルフォントにはない温かみのある手書き感を演出できます。
第三に、「文字の中のスキマ(ふところ)を広く均一に保つ」ことです。文字が潰れて見える最大の原因は、線と線の間の余白が狭いことにあります。文字の骨組みをやや正方形から横長楕円のイメージで広げる意識を持つと、全体がすっきりと垢抜けた印象に仕上がります。