ネット黎明期の怪動画として知られる「キーボードクラッシャー」の元ネタは、2005年頃に公開された自主制作のコメディショート動画『Echter Gamer(本物のゲーマー)』です。動画内で名作FPSゲーム『アンリアルトーナメント(Unreal Tournament)』の起動が遅いことに激怒し、奇怪な叫び声を上げながらキーボードを破壊していた少年の本名は、ノーマン・コチャノフスキー(Norman Kochanowski)といいます。
当時わずか14歳だったノーマン氏は、友人と共に視聴者を笑わせる目的で「ゲーム中毒に陥ったステレオタイプな狂気のゲーマー」という架空のキャラクターを演じました。机に叩きつけられたキーボードも、あらかじめ壊れていた古い不用品を用意した上でのパフォーマンスでした。
彼が意図したのはあくまで純粋なパロディ表現であり、本人の性格は極めて温厚でクリエイティブな少年でした。しかし、動画が本人の管理を離れて無断転載され、英語圏で「Angry German Kid」、日本で「キーボードクラッシャー」と名付けられたことで、現実と虚構の境界線が急速に崩壊していったのです。