実際の飼育現場では、どのような経緯でトラブルが発生しているのでしょうか。大手SNSの愛犬コミュニティや知恵袋、動物病院の診察室から寄せられた生々しい体験談を検証すると、飼い主側の無意識の油断が浮き彫りになります。
都内在住でトイ・プードル(4歳)と暮らす30代女性は、愛犬の誕生日に市販の生クリームケーキの残りをスプーン半分ほど与えてしまった体験を次のように述懐しています。
「普段からドッグフードも選別し、健康管理には自信がありました。しかし誕生日の浮かれた気分で『今日くらいはご馳走を』と、スプーンについた生クリームを一口だけ舐めさせてしまったのです。その日の深夜2時、愛犬が聞いたこともないような悲痛な唸り声をあげてケージの中で悶絶し、黄色い胆汁混じりの嘔吐と泥状の下痢を繰り返しました。夜間救急病院に駆け込み、急性膵炎の一歩手前と診断され、点滴治療と検査で数万円の治療費がかかりました。自分の浅はかな行動で愛犬に激痛を味わわせてしまった罪悪感は、今でも消えません」
また、動物医療の現場取材では、シニア期に入った中型犬(11歳)に「骨粗しょう症予防のために」と毎朝牛乳をスプーン3杯飲ませ続けていた飼い主の事例も報告されています。飼い主本人は良かれと思っていたものの、愛犬はずっと慢性的な軟便と腸内フローラの乱れに苦しんでおり、牛乳を完全に断った途端に便の状態が劇的に改善したといいます。
これらの実態が物語っているのは、人間側の「美味しいものを分かち合いたい」「身体に良いものを補ってあげたい」という善意が、犬の生理機能を無視した瞬間、暴力的な加害へと変貌してしまうという冷徹な現実です。