原作であるこうの史代の同名漫画は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した傑作であり、片渕須直監督によるアニメ映画版も世界中で高い評価を獲得した。これら先行作品に対する深い敬意を払いながら、TBSテレビの連ドラ版では連続ドラマならではのオリジナル要素と丁寧な心理描写が追加されている。
実写のテレビドラマ版で特筆すべきは、周囲の人間関係や登場人物たちの葛藤がより重厚に彫り込まれている点だ。二階堂ふみが演じた遊郭の女性・リンや、村上虹郎演じる幼馴染の水原哲とのエピソードなど、それぞれの生きてきた背景や葛藤が尺をかけて描写された。単なる悲劇として終わらせず、人間の弱さや愛おしさを浮き彫りにする濃厚なヒューマンドラマとして昇華されている。