一部の文壇ゴシップやネット上の言説では「公称168cmとサバを読んでいたのではないか」「厚底の靴を愛用していた」といった噂が語り継がれています。なぜ平均並みの体格であった三島に、このようなサバ読み疑惑がつきまとったのでしょうか。
その背景には、三島自身の卓越したセルフプロデュース意識がありました。三島は舞台挨拶や海外メディアの取材、映画出演時などにおいて、自らの立ち姿が最も美しく見えるカメラアングルを徹底的に計算していました。ローアングルからの撮影を好んだことや、ヒールのある特注靴を履いて公の場に登場した逸話は、関係者の証言や当時のグラビア写真からも確認できます。
また、後述するボディビルによって肩幅(三角筋)や胸囲を極限まで肥大化させた結果、上半身の横幅が強調され、対面した人々に「引き締まった小柄な男性」という印象を強く与えることになりました。視覚的な横への広がりが縦のプロポーションを縮んで見せてしまう現象に対し、三島自身が強いジレンマを抱えていたことは、親交の深かった編集者や作家仲間の回想録にも生々しく記されています。